コラム

 公開日: 2016-11-16 

売れる、そして稼ぐ、店舗レイアウト【商人舎magazine11月号】・原稿

店舗レイアウトを改善することによって、販売力や生産性を大きく向上させることが出来ます。

新店舗の開発や既存店のリニューアルは勿論ですが、既存店でも、平台の位置や数、形を変えるだけで、販売実績を向上させることが十分可能です。

また、各部門のバックルームや事務所なども、作業導線や什器備品の設置位置を変更するだけで、生産性を大きく向上させることも出来るのです。

新店舗開発や店舗リニューアルは、数千万円、数億円という非常に大きな投資が必要になりますが、レイアウトに関わる原理原則を勉強していない会社は少なくありません
そして、理解しておきたいことが、レイアウトとデザインは、イコールではないということです。

店舗レイアウトは、通過率や視認率、立寄り率などや移動距離など、科学的な要素を深く持つ一方、店舗デザインは、楽しさや綺麗さや豪華さというような、お客の心理的価値に大きく関わるものです。
全く別物ということではなく、本来レイアウトが、売場づくりの基盤にあると言えるでしょう。

今回は、その細部を解説しながら、あるべき形のポイントを押さえていきます。


バックヤードが狭くなれば売り場が広くなる


「君のレイアウトには、広いバックルームが有るじゃないか・・・」
今も忘れられない、日本リテイリングセンターの故・渥美俊一先生から個人面接の時に言われた言葉です。

その当時(20年ほど前)、私は、開発部では有りませんが、標準化推進室という業務改善を推進する部署のリーダーとして、店舗レイアウトの設計担当をしていました。
ペガサスクラブの店舗レイアウト・セミナーの時に、ある新店舗の計画図面を作成して持っていき、渥美先生に見ていただきました。
図面を机の上に広げると、先生はいきなり、「君のレイアウトには、広いバックルームが有るじゃないか・・・」とおっしゃいました。
私は、正直「えらいことを言うな、このおっさん・・・」と思いました。
それは、私が、全く考えてもいないことでした。

しかし、今でもそのことを、はっきりと覚えている理由は、「視点が違う」ということです。
あまりにも勉強不足で、解っているつもりの自分に喝を入れてもらったという思いでした。

地価が高ければ勿論ですし、それが安い地方でも、投資対効果を高めるという意味では、売場を広げるということを絶対的に考えなければいけません。
単純なことなのですが、限られた面積の中で、パックルームの広さは、売り場面積と反比例します。
狭すぎて、生産性を下げるようでは意味が有りませんが、重要な視点であることは言うまでもありません。

また、物流改善やアウトソーシングなどを行い、仕掛り品などの在庫を低減することや、在庫棚の設置を効果的に行い、床から天井までの空間を縦に無駄なく利用するなど、バックルームが狭くても、十分機能する仕組みを構築することも併せて考えなければなりません。


売上を上げやすくする、売場レイアウト設計


売場のレイアウトを考える上で重要な事は、
1.消防条例に関わる主要通路幅や避難路計画などのコンプライアンス
2.機械室と各冷蔵陳列ケースの配置位置による、冷媒配管などの資材費などのイニシャルコスト
など、設計段階で重要な要素です。

そして、売上を上げるという観点からは、
1.物理的に限られた面積の中で、より長い主要客動線をつくる
⇒売場のエントランスからレジまでの距離を長くする
2.主要客動線に効果的にマグネットを配置することとその数を増やす
3.主要客動線に、死に場所を出来るだけ作らない
ということなどを考えることが重要です。

特に、固定型の冷蔵ケースやゴンドラは、設置後簡単には移動できませんし、移動には多くのコストが掛かりますので、計画は慎重に行わなければなりません。


売上を上げるマグネット設定で、結果を出すレイアウトを知る


先ほど述べたように、長い主要客動線を確保することと、その主要客動線に効果的にマグネットを配置することが、『売上を上やすい』売場をつくるための重要なポイントです。

それでは、それとは逆に、勿体ない事例を幾つか紹介し、効果的な修正案を紹介します。

(1)エントランスからの主要客導線の設計ミス

左方向が主要客導線でが、入口を入ってすぐの幅が広すぎて、右の方が死に場所になりやすい状態です。
特に、ショートタイム・ショッピングで、鮮魚や精肉売場に向かうお客の行動を考えれば、売場へ入って、ゆっくり左右に買いまわらせるには、無理があります。

特に果物などの嗜好品については、買上げ率を高める意味から、通過率の高い客導線上に売場を設定することを考えることが重要となります。

レイアウト1 
  <修正前> 
レイアウト2
  <修正後>

(2)長い冷蔵平ケース

主要通路に、大型の冷蔵平ケースや平台を設置している状態です。
この場合、冷蔵平ケースの裏側と、ゴンドラ・エンドは、完全に通過率と視認率が落ちて、マグネット売場としての効果が大幅に低下してしまいます。

   レイアウト3
   <修正前> 
   レイアウト4
   <修正後>

基本的には、生鮮品や日配品とゴンドラ・エンドのゾーニングを考え用途関連の陳列を行い、関連購買による買い上げ単価アップを促すようにします。

また、マグネットの死に場所を少なくすることによって、売場効率を高めます。


(3)ゴンドラ・エンドの設定ミス

やってはいけない極端な事例です。
ゴンドラ・エンドが、お客の順路から見て正面を向いていない状態です。
この場合、お客は振り返らなければ、ゴンドラ・エンドの正面を確認できません。これでは、折角の強いマグネットの効果を発揮できません。
客導線上の視認率を確実に上げるためには、ゴンドラの向きを全体に修正する必要が有ります。

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