コラム

 公開日: 2018-03-28  最終更新日: 2018-03-30

不動産投資の儲かる仕組み 入門編2

不動産投資は儲かるか?


 前回は投資している期間の中で、儲かる期間と儲からない期間があることと、不動産投資はインカムゲインとキャピタルゲインの2種類の収入があり、儲けのコントロールが期待出来ることの2つを書きました。※前回のコラム 不動産投資の儲かる仕組み 入門編1

 今回は不動産投資が儲かるための仕組みであるローンについて、収益不動産のローンの特徴、レバレッジと金利、ローン金額、の3つをお話しします。

収益不動産のローンの特徴


 不動産投資の特徴として、不動産を担保とした借入があります。不動産担保ローンとか、アパートローンが一般的です。

 不動産投資の借入は、賃料収入が返済の元手となり、返済期間は数十年の長期になります。1年程度の短期の場合もありますが、借り入れ出来るのは不動産の仕入れ、改修、販売を事業とする不動産会社などで、この場合の返済の元手は賃料収入ではなく、不動産を商品として販売した販売代金か、長期に借り換えたローンになります。
 なお、改修や建て替えなどの手を加える事なくほかの人に売却する単なる転売は、転売という行為によって何の付加価値も生まないため、倫理上、金融機関の融資の対象にはならないとされています。

 長期の返済期間についてもう少し丁寧に説明にしますと、例えば、年間の収入が100万円あって、購入価格が1000万円の収益不動産があったとします。この不動産には、掃除やメンテナンスの費用のほか、固定資産税の支払いなど、運営するのに必ず必要な費用が年間で50万円かかっているとします。
 収入から費用を差し引くと、この不動産から得られる儲けは50万円になります。金融機関はこの儲けの50万円から返済を受けるわけです。賃料収入は中長期にわたって安定的な収入が得られる反面、大幅な増収を見込めないため、返済は賃料収入の中から確実に返せる範囲内の額に設定されることになります。
 購入価格の1000万円全額をローンで借りたとして、賃料からの儲けの全額を返済にあてたとした場合は、元金の返済に少なくとも20年かかります(50万円×20年=1000万円)。もっとも、実際は金利の支払いもしないといけませんから、返済期間は20年より長くしないといけません。

 また、建物の耐用年数は鉄筋コンクリートの建物だと50年近くあり、担保価値が減少するペースが長期にわたり緩やかになります。そのため、担保価値が減少するペースに合わせて元金返済期間も長期間に設定出来ます。

 このように、賃料収入を元手に返済する仕組みの収益不動産のローンは、返済期間が長期になるのが特徴です。
一般の法人が金融機関から長期の借り入れをするのはとてもハードルが高いのですが、収益不動産を担保にするとそれが当たり前に出来るのです。
 ただ、耐用年数が50年といっても、それは新築からの年数であり、中古の場合は築年数が古いと長期の借り入れが出来ない場合もあります。
 (建物の耐用年数と融資期間についてはコチラのコラムに詳しく書いてますので、ぜひご覧ください。→土地と建物の内訳価格と、建物の耐用年数
図1:収益不動産のローンの特徴
※クリックすると拡大します。

レバレッジと金利


 レバレッジはてこの原理のことですが、直観的には「収益効率増大ワザ」で、収益不動産のローンを利用して手元資金に対する収益率をアップさせることを「レバレッジをかける」とか「レバをかける」といいます。
 100万円の投資で5万円儲かっていたのが、レバレッジをかけて、60万円の投資で4万円儲かるようになる効果が「レバレッジ効果」です。

 利回りで計算すると、100万円で5万円のリターンのとき、利回りは5%(5万円÷100万円=5%)ですが、60万円で4万円のリターンのときは、利回りは6.7%(4万円÷60万円≒6.7%)にアップします。
 投資金額が100万円から60万円に減っていますが、足りない40万円はローンで調達することになります。
図2:レバレッジ効果
※クリックすると拡大します。

 こんなに簡単に利回りがアップするなら、誰もがローンを利用してレバレッジをかけますよね。
 ところが、この時に重要なのが、ローンの金利とキャッシュフローですが、キャッシュフローはこの後のローン金額の項目でお話ししますので、ここでは金利に注目します。

 先ほどの例では40万円のローンを調達し、ローンの返済分は1万円になります。話をシンプルにしたいので、ここでは借入期間中の元金返済は無しとします。すると、ローンの金利(利回り)は2.5%(1万円÷40万円=2.5%)です。
 このローンの金利(利回り)が、レバレッジをかける前の利回りより低い場合にのみ、レバレッジ効果が期待できます。
 ローンの金利(利回り)が、レバレッジ前の利回りより高いと、手元資金の利回りが悪化します(この状態を「逆レバがかかる」と言ったりします)。

 つまり、レバレッジ前の利回りとローンの金利(利回り)の差が、レバレッジ効果に現れるというわけです。
 ですので、レバレッジ前の利回りが低い収益物件でも、それより低い金利のローンが調達すること出来れば、手元資金に対する利回りをアップさせることが出来るのです。
(不動産の利回りについてはコチラもご覧ください。→不動産 利回りの仕組み

 これを実践しているのがJリートです。Jリートが購入する収益物件は優良物件ばかりで、購入時の利回りはかなり低いのですが、借入金の利率はなんと1%を切っており、4%ほどの分配金利回りを実現させています。

ローン金額


 レバレッジをかけて収益率がアップするなら、購入額全額をローン調達すれば儲かるでしょ!
と思いませんか?

 その通りです、儲かります、うまくいけば。

 この場合、問題が2つあります。
 その1つがキャッシュフローです。

 先ほどの例では、話をシンプルにするため借入期間中の元金返済は無しとしましたが、通常は定額の元金または金利+元金返済額が定額になるように、定期的に元金返済しなければなりません。そして、借入期間は築年数が影響します。築年数が古いと、借入できる期間は短くなります。

 先ほどの例をすべて年間として、40万円のローンの借入期間が10年とし、10年にわたって元金を均等に返済する元金均等返済とすると、1年目の元金返済は4万円になります。そして、ローンの金利分は1万円ですから、元金と金利を合わせて5万円です。リターンのすべてがローンの支払いに消え、手元にキャッシュが残らなくなります。
図3:ローン金額
※クリックすると拡大します。

 同じ条件で全額をローン調達したとすると、1年目の元金返済は10万円、金利分は2.5万円、元金と金利を合わせると12.5万円となり、1年目のキャッシュフローは7.5万円の赤字になります。

 レバレッジは収益効率を増大させる効果がありますが、それと同時に、元金返済によってキャッシュフローを悪化させる効果もあるのです。

 ローン金額が大きすぎると、借入期間中、ずっとキャッシュフローが赤字ということもあり得ます。
 もちろん、何年後かに投資金額と同額の100万円で売却できれば、元金で支払った分のキャッシュは回収できますし、100万円を上回れば収益効率は増大します。
 しかし、売却額がその時の借入残高を下回れば損失になり、ローン金額が大きければ大きいほど、その損失効果は増大することになるのです。

 もう1つの問題は、金融機関のリスク負担です。

 ローン金額の大きさは、将来、価格が下落したときのリスクを、どれだけ金融機関が負うか、と捉えることができます。
 金融機関は物件の価格がいくら上昇しても、金利分しか儲かりませんが、物件の価格が下落すると、元金を回収できず、損失が大きくなるリスクがあります。全額ローンとなると、価格下落リスクは100%金融機関が負担し、上昇したときのリターンはすべて借主が受取るという、不釣り合いな状態になります。

 借主にこのリスクを埋め合わせるほどの信用力がないと、購入額全額ローン調達というのは厳しいですよね。


 手元資金をなるべく有効に使うために、ローン金額は出来るだけ大きくしたいところですが、保有期間中のキャッシュフローが赤字になれば、結局、手元資金を使ってしまうことになります。
 収益不動産のローンは、レバレッジが期待できる「儲かる仕組み」ですが、ローン金額は賃料収入とのバランスを考えて慎重に検討して下さいね。

この記事を書いたプロ

岡田不動産鑑定 [ホームページ]

不動産鑑定士 岡田忠純

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