コラム

 公開日: 2012-07-02  最終更新日: 2014-07-01

「欠陥住宅(17)」裁判手続きの流れ

 トラブルの末、裁判による解決が選択される場合があります。裁判手続きの流れの概略を記します。詳しくは、「誰でもできる欠陥住宅の見分け方:民事法研究会」を参照してください。

「誰でもできる欠陥住宅の見分け方:民事法研究会」抜粋



① 建築士さんにあなたの感じている不具合事象について、その原因の調査鑑定を頼みます。
② その調査報告をもとに弁護士に裁判を依頼します。
③ 弁護士は、それに基づいて相当な補修方法に必要な代金などを損害とする訴状を作成します。そ  の際に、請求の内容になる欠陥原因事実を調査鑑定害をもとに特定します。
④ 訴状が裁判所に提出されると、一~二ヵ月以内に第一回期日が開かれ、その後数回にわたって双  方の争点整理が行われます(事件が専門家の調停委員のいる調停手続に移付されることがありま  す。)。欠陥住宅裁判では、請求の原因となる欠陥原因事実の理解に技術的な知見が必要となる  ために争点整理には手間がかかりますが、この争点整理に時間をかけると、何か争点かを明確に  裁判所に理解してもらえるのでその後の進行が速くなります(裁判所が訴訟手続に関与させる専  門委員をつけることもあります。)。そして、その整理された争点をもとに証拠調べが行われま  す。
⑤ 欠陥住宅裁判では、訴状作成のもとになっている欠陥調査報告書を証拠面や判断基準とした法令  などの文献資料や写真や計算書などで肉づけした私的鑑定書を初めの段階で出すのが通例です。  この争点整理のときに私的欠陥鑑定害を出せば、それだけ争点の理解に役立ち、また訴えられた  被告の方もその反論の準備がしやすくなります。
⑥ 原告側訴訟では提出した私的鑑定言に対して、被告側は自ら反対意見や主張を害くことも可能で  すが、当事者の言い分は証拠価値に乏しく、他人に述べてもらう方が証拠としては価値があるも  のとされています。そこで、被告側も私的に建築士に頼んで反論の鑑定書を作成し提出します   が、場合によっては反証として裁判所の鑑定人に判断を求めることも行われます。もちろん訴え  る原告の被害者の側も裁判上の鑑定を申請することは可能ですが、そのような申請は自らが提出  している私的鑑定害の不十分さを示すことともなり、その提出した私的鑑定害の価値を低める場  合があることに注意しなければなりません。
⑦ 欠陥住宅訴訟は「言った」「言わない」という訴訟ではなく、欠陥原因事実が建物にあるかどう  かということと、その相当な補修方法について確立された法令や技術基準、現行の施工技術に従  って判断されるので、証言だけで事実の存否を立証することは少なく、たとえば証人尋問が行わ  れても、私的鑑定書の作成者に対して、その作成の有無や調査鑑定に際して確認した事実などと  ともに鑑定書に示されている判断事項の説明を求めたりすることが主たるものです。本人尋問で  は、契約の際の事情や、原告である被害者側については、その欠陥によってどのような損害(精  神被害も含む)を受けているかなどを立証するのに行われます。あわせて本人の陳述書も提出さ  れ、証人や本人の尋問に役立てます。
⑧ 以上の流れで裁判の審理が終結して、いよいよ判決となります。
⑨ 前述④の争点整理が終わると裁判所が事件についての論点をほぼ理解しますので、早ければこの  段階から、遅いときは証拠調べが終わって判決の出される寸前に裁判所から和解が勧告され、当  事者の合意によって和解が成立し訴訟が終わることがあります。また、移付調停となって調停が  成立したときも同様です。

   以上に述べたのは第一審の手続ですが、これに不服があれば控訴、また控訴判決に不服があれ  ば上告が行われます。控訴は高等裁判所に対して、上告は最高裁判所に対して行われるものです  が、最高裁判所では憲法違反や特に最高裁判所が取り上げた法令違反だけを扱うこととされてい  ますので、欠陥の有無や相当な補修方法、相当な工費、つまり補修損害額などについては実際上  は高等裁判所限りになると考えてください。

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