コラム

 公開日: 2012-09-11  最終更新日: 2014-07-01

「建築って何?(41)」建築物の耐用年数の増大:「木造」

 「鉄筋コンクリート造」や「鉄骨造」の骨組の耐用年数を増大させる方法に比べ、「木造」の方法はいくつかの要素を組み合わせるので複雑になります。
 木材は、シロアリや腐朽菌の被害により、断面欠損や強度低下が生じ劣化することになります。シロアリや腐朽菌に起因する木材の劣化現象を「生物劣化」といい、「木造」建築物の骨組は「生物劣化」により物理的に耐用年数が尽きます。そこで、「生物劣化」を防止すれば耐用年数は増大することになるのです。
 「生物劣化」の基本的な防止方法は、シロアリや腐朽菌が活動や生育しにくい環境下で木材を使用することにあります。法隆寺などに用いられている木材が千数百年間使用され続けている事実が、長く使用可能であることを実証しています。
 「木造」におけるシロアリや腐朽菌の活動や生育がしにくい環境とは、骨組である木材の乾燥状態が継続し、木材を高含水率にしない環境に置くことです。この環境下に木材を置けば、シロアリのうち「ヤマトシロアリ」と一般の腐朽菌の被害を著しく低下させることが可能となります。
 次に、木材を地表から離す、または地表面に防御層を設けることです。千葉県以西の沿岸地帯で大きな被害を与える「イエシロアリ」は、木材が乾燥した状況でも被害を与えます。このシロアリは、地中から這い上がって建築物に侵入し、木材を食害します。このシロアリに対しては、木材を地表から離し、地表面からの這い上がりを防止する層を設けることにより、被害を低下させることができます。《木材を乾燥した環境下に置く》《木材を地表から離す、地表面に層を設ける》ための具体的な方法として、《基礎の立上りを高くする》《地表面に亀裂の入りにくいコンクリート層を設ける》》木材に雨水などがあたらない構造にする》《壁内に結露が生じない構造にする》《壁内を通気する構造にする》などが考えられます。これらは「木造」骨組の耐用年数を増大させる構法的な解決方法といえます。
 「木造」建築の耐用年数を伸ばすためのもう一つの方法は、耐久性のある樹種を選定することです。耐久性のある樹種とは「ヒノキ」「ヒバ」「クリ」などの心材を指します。これらの樹種を採用することにより、「薬剤処理」を省略することもできます。そして、使用する木材の断面を増大することが更に大きな効果をもたらします。
 次に、「薬剤処理」による方法が挙げられます。木材の耐久性を増大させるための「防腐・防蟻薬剤」は、明治時代から使われています。50年前頃から、長期間効力が持続する優れた薬剤が多く開発され、「鉄骨造」のめっき処理のように表面処理をしたり、木材の中に浸潤させたり、地表面に処理したりして使うようになりました。しかし、この薬剤が環境汚染の原因になることや、人体への毒性を有することから、近年は、より毒性の低い効力期間の短い薬剤に代替されるようになってきました。このような経過を経て、「薬剤処理」は、木造の骨組の耐用年数を増大させる方法のひとつとして、使われ続けています。
 所定の耐用年数を得るためには、以上の方法を、いくつか組み合わせて選定することです。



設計監理/調査鑑定/CM(コンストラクションマネジメント)
タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

この記事を書いたプロ

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所 [ホームページ]

建築家 高塚哲治

大阪府豊中市寺内2-11-3-102 [地図]
TEL:06-6862-6831

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
電話相談/来所相談(面談)
「住宅」「マンション」向け【業務内容】

電話による相談は無料です。来所いただければ、初回に限り「1時間程度」の相談は無料です。(特に、当事務所は欠陥トラブルに関係する資料が整っています。)電話相...

 
このプロの紹介記事
高塚 哲治(たかつか てつじ)さん

CM(建築物をつくり維持する過程の最適化)により良質な建築を創造し、欠陥住宅問題も解決します(1/3)

 北大阪急行「緑地公園駅」から南へ徒歩約5分。マンション1階に事務所を構える「タウ・プロジェクトマネジメンツ」の高塚哲治さんは、元大手設計会社「日建設計」勤務。1998年11月に独立しました。「日建設計は素晴らしい組織設計事務所ですが、いつ...

高塚哲治プロに相談してみよう!

読売新聞 マイベストプロ

欠陥住宅問題に精通し、CMを遂行する

事務所名 : タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所
住所 : 大阪府豊中市寺内2-11-3-102 [地図]
TEL : 06-6862-6831

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

06-6862-6831

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

高塚哲治(たかつかてつじ)

タウ・プロジェクトマネジメンツ一級建築士事務所

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
「神戸ルミナリエ」開幕
イメージ

 「阪神・淡路大震災」の復興のシンボルである「神戸ルミナリエ」が12月2日から始まり、色鮮やかなイルミネーショ...

[ 旬の話題 ]

「大阪駅」北側に「ホテル」建設計画:「JR西日本」
イメージ

 大阪市北区にある「JR西日本」の本社の近くに、2018年春の営業開始を予定した客室数が約400の「ホテル」が計画さ...

[ 旬の話題 ]

登録有形文化財「樟徳館」(東大阪市)を一般公開
イメージ

 11月12日・13日の2日間、同学園が保有する「登録有形文化財」である「樟徳館(しょうとくかん)」(東大阪市菱屋...

[ 名建築/迷建築 ]

「住宅用火災報知器」(住警器)の交換時期は10年
イメージ

 「住宅用火災警報器」(住警器)の新築物件への設置が全国的に義務付けられてから、2016年6月で丸10年を迎えまし...

[ 住宅(つくる、かう) ]

「無形文化遺産」登録:「山・鉾・屋台行事」33件
イメージ

 「ユネスコ」(国連教育科学文化機関)の「無形文化遺産」に推薦していた「山・鉾(ほこ)・屋台行事」(18府県...

[ 旬の話題 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ